第5話軽トラック
軽トラ一台から始まった、鉄くず拾いの旅 part4

── 銅の利益が、生活を立て直す第一歩になった**

銅の屋根を買い取ったあの日、
軽トラに重たい銅板を積んで走りながら、
「この仕事で本当に食っていけるのかもしれない」
そんな小さな光が胸の奥に灯っていた。

だが現実は、甘くなかった。


■ 車検の時期が、突然のように襲ってきた

ちょうどその頃、
私の軽トラックは車検の時期を迎えていた。

「よりによって、なんで今なんだ…」

家にはほとんど貯金がなく、
毎月の生活費と借金返済で手一杯。
車検代を捻出する余裕なんて、どこにもなかった。

この軽トラがなければ仕事ができない。
でも、車検を通す金もない。

本当に、どうしたらいいのかわからなかった。


■ 銅の利益が、私を救った

そんな追い詰められたタイミングで、
銅の買取の利益が手元に残った。

その利益を手にした瞬間、
胸の中で何かがほどけた。

「……これで、車検が通せる。」

利益の半分は、車検代として消えていった。
でも、それでよかった。

軽トラさえあれば、まだ走れる。
まだ仕事ができる。
まだ家族を守れる。

残ったお金は、借金返済とほんのわずかな生活費に回した。

贅沢なんてできない。
でも、
「生きるための最低限」
が手に入っただけで、あの日の私は救われた。


■ ご縁は続く――あのお客さんとの今

あのとき銅を譲ってくれたお客さんは、
今でも私に良くしてくれている。

あの人の一言――
「それでいいよ、積んで積んで」
がなければ、私は車検を通せなかった。

車検が通せなければ、
スクラップを集め続けることもできなかった。

仕事を続けられたのは、
あの人の“信用”と“優しさ”があったからだ。

そのご縁は十年以上経った今でも続き、
私の商売の原点としてずっと心に刻まれている。